院内症例検討会 ガス壊疽

 

6月22日(月)、院内症例検討会が行われました。

今回の講師は、整形外科医師の小倉拓馬先生と特定行為看護師の久田香澄さんのおふたり。深部で発症すると見落としやすく、生命を脅かす危険性のある感染症「ガス壊疽」を、見事な連携で早期に発見。緊急手術により、患肢切断といった重症化から患者さんを救い、当院のグッジョブ賞を受賞した症例です。

 

 

特定行為看護師とは、実践的な理解力、思考力、判断力ならびに高度で専門的な知識と技能の向上を図る研修を終了した看護師のこと。特定行為看護師の久田香澄さんは今回の症例で、患者さんの状況から、いつもとは異なる違和感を感じ臨床推論を行いました。大腿骨骨折や壊死性筋膜炎、ガス壊疽の可能性を考慮し、レントゲンとCT検査を依頼し、主治医に報告。整形医師とのスムーズな連携によって緊急手術をすることになりました。

 

 

今回の症例は72歳男性の患者さんで、慢性腎臓病で透析治療を受けていらっしゃる方で、発熱し、腎盂腎炎の疑いで入院され、下肢の痛みを訴えていらっしゃいました。オペを担当した小倉拓馬先生によると、全身状態が悪く、さまざまな合併症が考えられ、痛みの原因が直ちにガス壊疽によるものだと判断するのは難しかったと言います。

緊急性が高いと判断した理由は、CTで深部にガス像らしきものが見られ、下肢の膨張と顕著な痛み、CPRの上昇、紅斑の広がりが見られるという報告でした。手術したところ、強い腐臭があり、一見してガス壊疽であることが判明。壊疽の進行を食い止め、命を守ることができました。

 

 

小倉先生は最後に、今後は久田看護師のように、医師が日常診療で行う臨床推論のできる看護師が求められ、それには日々のトレーニングが必要だと述べました。発表の後、医師や看護師長から質問が飛び、臨床推論=看る力の重要性を再確認して症例検討会は終了しました。

 

症例を発表してくださった小倉拓馬先生、久田香澄さん、ありがとうございました。