3月朝礼講話―平成の時代、種子島の医療は大きく進歩した―

 

3月は別れの季節でもあり、次への飛躍を願う季節でもあります。また、今月は平成最後の年度末となります。そこで、種子島の医療を簡単に振り返ってみましょう。

 

平成の時代、種子島医療センターの医療は明らかに進歩しました。

 

CT(320列)・MRI・血管造影装置・超音波などの画像診断機器、全自動生化学検査機器などを積極的に常設してきたことは、診断学は元より救急医療へ大きく貢献してきました。また、腹腔鏡手術、脊椎や股関節の整形外科手術を早くから取り入れ大学病院に遜色のない治療を実践してきました。中でも、高齢者への積極的な医療が成功してきたと考えられます。その一つの証明として、回復リハビリ病棟の多くの高齢の患者さんたちは手術によって機能回復し、元気に家族の元へ退院していきます。

 

近年では、小児科医師の充実によって少子高齢化対策としての「子育ての島」プロジェクトの一環を担うことが出来る様になりました。種子島から未来の予防医療の道筋を示すことができればと考えています。一方、医療の担い手である看護師では認定看護師や特定医療行為看護師の人材育成が進んでいます。看護師の役割がさらに重要かつ多様化していくでしょう。

 

本院の特色でもあるリハビリテーションは大きく進歩しました。県外からのリハビリ職員が8割という若い集団で結束力、勤勉性、技術力の向上、それを支える意識レベルの高さは県内外でもユニークな存在だと思います。益々の発展を望みますし、日本でも無視できない存在になる可能性を秘めていると思います。

 

「離島でも行える治療」とは何でしょう。例えば、超高齢者に対する治療、中でも整形外科は80歳、90歳でも手術をします。なぜか?手術が患者に幸せをもたらすからです。回復リハビリ病棟でそのことを強く感じています。ここは離島なのだから搬送すれば良いという意見もあるかも知れませんが、考えてみて下さい。搬送された患者は誰かが手術をしなければならないのです。搬送は医療行為ではないのです。他人に下駄を預ける行為です。

 

「離島だから・・・(しなくて良い)」という思い込みを変えましょう。「離島だから出来ることがある」と意識改革をしましょう。

 

平成の時代、離島でも行える治療は明らかに進歩しました。その成果は次の元号へと受け継がれていきます。平成最後、平成30年度の締めくくりである今月もよろしくお願いします。

 

病院長 髙尾 尊身