7月朝礼講話 しあわせの国ランキング ― 日本は? ―

 

 

梅雨が明け、種子島らしい日差しとともに青と白そして緑のコントラストが素晴らしい夏がやって来た。やっぱり種子島の夏はいい!ところが、関東を中心に猛暑の日々、その中での参議院選挙。そこでちょっと頭をよぎったことがある。

 

みなさんはしあわせの国ランキングを知っていますか。聞いたことはあるかな。そのランキングで日本は何位だと思いますか? 先進国の一つで教育レベルは高く、経済(国内総生産;GDP)も世界3位の日本がベスト10に無いわけは無い。私もそう思ってましたよ。国連の持続可能開発ソリューションネットワーク(SDSN)による2022年3月発表のランキングでは146カ国中54位。何で!? と思いましたね。

 

そもそも国の比較は難しいだろうと思うのは私だけでは無いはず。どのようにランキングが決められているのか、ちょっと調べてみた。国ランキングの特徴は「幸福度」を数値化して順位付けし、その幸福度は、主に「主観的な幸福度」によって決定される。その上で、以下の6つの項目を加味して判断されるという。

 

  • 1人当たりの国内総生産(GDP):日本は28位。ちなみに、今年のサッカーワールドカップが行なわれるカタールは8位。エーッと思われた方も多いのでは。GDPは3位なのになぁ・・・。
  • 社会的支援の充実(社会法制度など):GDPに対する社会保障費の割合の国ランキングで日本は19位。意外に低いなぁ。
  • 健康寿命:これこそ日本だろう。そう、日本が1歳で堂々の1位。ほーらねと誇らしげになるが、第2位が僅差でシンガポール、3位が韓国、ちょっと不安・・・。
  • 人生の選択における自由度
  • 寛容さ(チャリティーなどの寄付)
  • 腐敗の認識(不満、悲しみ、怒りの少なさ、社会、政府の腐敗が蔓延していないか)

 

このうちの「自由度」「寛容さ」が日本の足を引っ張っているのだそうだ。つまり、上位10カ国と比べ低いのだ。自由度は「自己決定」に代表されるのだが、我が国では画一的に規制するルールによって創造性の発揮が乏しく、個性の尊重が低いと言わざるを得ない。小学生を国で比較すると明らかで、日本の画一的な教育ルールの基では子どもの個性が押し潰されているように思えてしまう。

 

さて、幸福度1位の国はフィンランド。2019年12月、「フィンランドで34歳の女性首相誕生」というニュースが世界を駆け巡った。当時、世界最年少の首相。幼い頃に父親のアルコール問題で両親が離婚。母は同性のパートナーと一緒になり、いわゆる「レインボーファミリー」(子どもがいる同性カップル)の出身だ。

 

彼女はツイッターに「フィンランドを誇りに思う。貧しい家庭の子でも十分な教育を受けられ、店のレジ係でも首相になれるのだから」と投稿した。2020年の新年の国民に向けての挨拶では、「社会の強さは、最も豊かな人たちが持つ富の多さではなく、最も脆弱な立場の人たちの幸福によって測られます。誰もが快適で、尊厳のある人生を送る機会があるかどうかを問わなければなりません」

 

フィンランドでは年功序列はそれほど重視されていない。むしろ、フットワークが軽く、柔軟で新しいことに敏感な若い人たちに仕事をどんどん任せて、年長者はそれを支える側に立つ文化がある。フィンランドにいると、自然に年齢や性別の「フレーム」がなくなるのを感じる。それはどうしてなのかとフィンランド人に問えば、決まって「フィンランドは小さい国だから」と始まり、こう続く。「豊かな天然資源があるわけでもなく、人口も550万人に過ぎない。だからこそ、一人ひとりが国の大切な資源であり、その資源に投資し、それぞれが能力を伸ばして発揮できる社会にする必要があるからね」。(堀内都喜子『フィンランド 幸せのメソッド』より)

 

コロナ禍で日本国内での幸福度格差が大きくなったと報道された。種子島はどうだろう。フィンランドを考えるとき、種子島に似ていると思うのは私だけだろうか。幸福度の重要な因子に「人とのつながり」がある。その底流には温かい人間関係が必要だし、最も大切なことは「人を愛する力」だという。

 

もし、地域しあわせランキングがあれば、種子島は第1位になれるだろうか?

 

病院長 髙尾 尊身