2月朝礼講話 オミクロン狂想曲―新しい形の始まり?―

 

初めまして! 南アフリカからやって来たオミクロンです。

今や知名度No1.です。昨年は、デルタ君が大変お世話になりました。と言うより。お騒がせしました。デルタ君が12月のインタビューの中で第6波として僕がやって来ることを予言してたけど、僕はデルタ君ほど悪いウイルスじゃないんだよ。まずは自己紹介。

 

1.オミクロンという名前の由来は、世界的に監視が必要とされる変異株に対してWHOがギリシャ文字を冠した呼称を用いるんだよ。24文字からなるギリシャ文字でオミクロン(ο)は15番目に当たるね。残りは9文字。僕で終わりになるといいけどね・・・。

 

2.一番の自慢は「感染力」です。デルタ君より4-5倍の強力な感染力を持っています。なので、少々の防御対策では感染を防ぐことは難しいかも知れませんよ。ワクチン接種をしてても感染しちゃうからね。世界のオミクロン株感染者数はこれまでのコロナ株に比べて最も多く、第6波のピークは飛び抜けているからね。

 

3.僕は肺炎より上気道感染を主に起こすんだ。だから、致死率は低いんだよ。「のどの痛み」がある時は、僕が感染した疑いがあるので検査をしてくださいね。

 

4.知ってると思うけど、ウイルス感染では一般に感染率と致死率は反比例するんだ。僕は感染しても共存するタイプを目指しているんだよ。子供への感染も好きだし、まぁ、フレンドリーと言ってもいいかな。多くの感染者は無症状か軽症なんだよね。勿論、ワクチン接種が前提だけどね。とくに、基礎疾患を持つ高齢者の方には3回目のワクチン接種を勧めるよ。致死率が低いと言っても重症化する場合があるからね。

 

 

さて、種子島もいよいよ感染拡大が始まったね。でも、我々仲間内でも評判の種子島医療センターがしっかりしているから防御対策は万全だろうな。それに住民のワクチン摂取率が高いからね。だから、狙い目は高齢者施設なんだなー。そこのところをよろしくお願いしたいんだけど、やっぱりダメかな-。僕もいつまでも日本にいるわけにはいかないんだよ。そろそろピークアウトが近づいているからね。

 

僕の後釜はどうなるのかって。そこが問題なんだなぁ。先のことは分からないけど、もっとフレンドリーな奴が現れるかもね。致死率が0%に近くて、さらに感染力がアップするとかさ。あるいは、夏には弱いとかさ。そうなれば今のインフルエンザ並になるかもね。結局のところ、僕らもそれが究極の目標なんだよね。人とウイルスの共存というやつね。そうなればお互いにハッピーなんだけどなー。

 

個人的(個ウイルス的)に言えば、アルファ君から始まったパンデミックも終わりが近づいていると思うよ。だとすると、長いようでアッという間だったなぁー。光陰矢のごとしと言うんだろう、人間の世界では。振り返ってみると、僕たちの功罪は何だったんだろうと感慨にふけったりもするんだよ。ウイルスもね。だから今、皆さんにこれだけは言いたい。

 

以前は当たり前だと思っていた日常が、いかに「しあわせ」だったかを皆さんに考えて欲しい。今、人類は、様々な背景を異にする人種あるいは民族が、マスク越しに向き合うという不可思議な世界で生きているだろう。今まで人類が経験しなかった世界だよね。それに、当たり前だった「仕事」も大きく影響を受けたね。テレワークなど新しい生活様式も出てきたし、何と言っても飲食業界は大きな打撃を受けたよね。世界は人間中心主義で回ってきたけど、我々ウイルスにとって人間の都合は関係ないからね。また、人間の世界では様々な分断が問題となっているけど、我々が共通の敵となることでもう少し歩み寄って仲良くしたらどうかなぁ。

 

最後になるけど、ポストコロナにはより良い「新しい形」を創造して欲しいと願ってるよ。離島医療もね。

 

インタビュアー

病院長 髙尾 尊身