4月朝礼講話 どんな大切な日々にも「卒業」はやってくる

 

春風駘蕩。春風がそよそよと気持ちよく吹き、平和で穏やかな春をのんびりと過ごしたいものです。が、パンダミックの収束もまだ不透明な中、平和の祭典である冬の北京オリンピックの余韻に浸る間もない時、ロシアのウクライナへの軍事侵攻は世界に衝撃を与えました。一気に不安定で先の見えない世界に突入し、人類滅亡に最も近づいた災いの年として歴史に残るでしょう。

 

そして、ついにと言うべきか、恐れていた院内感染クラスターが発生しました。第6波のオミクロン株は桁外れの感染力で種子島医療センターの堅いと思われていた(?)防御を突破して、まるで大津波が防波堤を軽々と乗り越えるかの如く病院内に侵入しました。本院の職員全員が初めてのクラスター対応に忙殺される3月となったのです。新型コロナ感染症の治療を行なっている我が国の医療機関では多くがクラスラーの経験をしています。私たちも感染症の防御や治療の体験、さらなるレベルアップの勉強と捉えることが肝要だと思います。

 

さて、どんな大切なそして苦悩した日々にも「卒業」はやってきます。へき地医療センター長として屋久島の栗生診療所に6年間通われた猿渡先生をはじめ、地域医療に奮闘した多くの職員からのバトンが新入職の皆さんに引き継がれます。4月は、「変化」を恐れず新たな未来の扉を開ける季節でもあるのです。島民に最も大切な救急医療もチーム医療へと変わります。あの時の決断が種子島医療を支える一歩となったと思える時が必ずやって来ると信じて。

 

新入職の皆さん! 人生すべて「行雲流水です。人はどうしても足りない部分に目が行きがちですが、まずはどれだけ自分が満ち足りた状態にあるのか、知る事から始めましょう。自分が持っているものに感謝する気持ちを持てれば、自然と物事の「ありのまま」を受け入れる余裕が生まれるはずです。利己的な考えを捨て、足るを知り、周りとの調和を心掛け、多様性を受入れましょう。「慈しみ」の気持ちを持つことで、最終的には自分の心の豊かさを育むことができます。

 

アップルを創生したスティーブ・ジョブズの言葉です。

心の底から満足する唯一の方法は、素晴らしいと信じる仕事をすること。

 

 

病院長 髙尾 尊身